日本では永住権を取るよりも、帰化する方が易しいとして、問題になっています。
日本で永住権を取るための条件は概ね次のような事です。
1.素行が善良であること:法律を遵守し、社会的に非難されるような行為をしていないこと。
2.独立した生計を営めること:安定した収入や資産を持ち、公共の負担にならないこと。
3.日本の利益に適合すること:
4. 原則として10年以上日本に在留していること(うち**5年以上**は就労資格または居住資格での在留)。
5.納税義務や公的年金・健康保険の支払いを適切に履行していること。
6.罰金刑や懲役刑を受けていないこと。
7.最長の在留期間を持っていること(例えば「3年」の在留資格)。
8.公衆衛生上の問題がないこと。
むろん、特定の条件を満たす場合、在留期間の要件が緩和されることがあるという、このあたりがくせ者ですが。
一方で、日本で帰化する為の条件は概ね次のようなものです。
1. 住所要件:引き続き5年以上日本に住所を有していること。
2. 能力要件:18歳以上であり、本国の法律でも成人であること。
3. 素行要件:法律を遵守し、納税義務を果たし、犯罪歴がないこと。
4. 生計要件:安定した収入があり、日本で生活できること。
5. 重国籍防止要件:帰化によって元の国籍を喪失すること(例外あり)。
6. 憲法遵守要件:日本の政府を暴力で破壊する意図がないこと。
7. 日本語能力要件:日常生活に支障のない程度の日本語の読み書きができること
こちらも、特定の条件を満たす場合、住所要件が緩和されることがあるというのがくせ者ですね。しかも条件数が、永住権よりも条件数が少ないし。
細かい話や、実際の運用がまともなのかという問題は、取り敢えず脇に置きましょう。この永住権は10年に対して、帰化は5年の滞在で済むという所が問題視されているわけですね。
そもそも米国、豪州、ドイツ、韓国などでは、帰化の前に永住権を取得します。それが当たり前の事ですよね。日本はおかしいのです。
ただ、ここでは全く異なる視点をお話しします。それは、ここでも官僚の縄張り意識の陰がちらつくということです。法務省内でも永住権は出入国在留管理庁、帰化は民事局で、縦割りで別個の制度としてできて整合性について考えてこなかったと指摘されているのです。そうです。ここでも、他の部門に口をはさまないからこちらにも口出しするな、という役人の悪しき慣習が災いしているのです。先日の川崎で起きたストーカ殺人事件でも、ストーカー事件として度々相談していた部門から殺人などの捜査をする捜査1課に、殺害が発覚するまで情報の共有が行われていなかったのです。同じ警察内でこれですからあきれますよね。この様に日本の縦割り組織の身勝手さは限度を超えています。
私はこの事を日本人の気質のひとつ、「くくりへの撞着」として、とらえました。
あらゆるところで問題を起こしているくくりへの撞着について、皆さんももう少し関心を高めていただければと思います。
令和7年5月17日(土)